ご近所にはボクの苦手な犬が何頭かいて
急に出くわせば心の奥から恐怖に負け
吠えて唸って牙を剥き
あたりにモノがあれば噛みしだきます。
ジャックラッセルテリアの顎は強く
本気で噛めば人間の指が砕けます。
だからボクを率いる人間は
常に周囲に気を配らねばならず
ボクの最初のグルルが聞こえた瞬間に
躊躇せずリードを手繰って他の人から離れるか
ボク全体を抱え込んでどうどうどう
と落ち着かせねばなりません。
ボクの飼い主は慣れたもので
この手順が阿吽の呼吸で決まりますし
プロのシッターさんや幼稚園の先生の前では
そもそもボクが興奮しないのですが
飼い主が不調でボクを犬友に預けていたとき
事件は起きました。
そして隣には
さっきまで仲良くオヤツをもらっていた
小さな小さなハンちゃんがいて
ボクはハンちゃんを咥えてしまいました。
ああ、どうしましょう。
ごめんなさい。
ハンちゃんは耳の後ろを縫うそうです。
ごめんなさい。
どうか無事でありますように。
ごめんなさい。
また会えますように。
ごめんなさい。
散歩自粛中。