止んだと思ったらまだ降っていました。
危険とか歩けないとかじゃないんですけどね
なにせ街犬なもので
多少は怯んだりするわけですよ。
ほら
霧雨は空中に短い線をひきながら
ボクの髭や鼻をとらえます。
本当に出かけるんですか?
いつもながら
足が短くてパンツの裾を引きずります。
二つ折りにしてごまかして
行かなきゃいけませんか?
やっぱり嫌です。
ぬるっと滑る道も落ち葉も
身体を締め付ける雨具も
何もかも気に入りません。
ボクは歩くことを拒否します。
と、駄々をこねたらこうなりました。
飼い主は来客向けの買い物と
大きな花束と傘を持ち
動かないボクをスリングに拿捕。
令ちゃんは濡れながら足元を進みます。
なんだかボクだけ問題児みたいじゃないですか。
こうなったら
家に帰って思いきり弾けようと思います。