海が見える街へきました。
ここには飼い主の大好きな老女がいます。
久しぶりの二人が話し始めれば
必ず喧嘩に発展するように思いますけれど
ボクと令ちゃんだって
ガオガオもつれ合うほど仲良しなので
好きだと言うなら好きなことにしましょう。


彼女との面会に際し
ボクに任務が与えられました。
まず、会った瞬間は駆け寄って
耳を伏せ口元を緩め尻尾を振ります。
優しい犬だとわかるように
暖かい舌で掌を舐めるオプション付き。
大丈夫、上手にできました。



家の中に入れてもらったら
休みなく彼女の足元につきまとい
混乱する指示にも平気を装い
こたつの横では動かない
という責務を
続けざまにこなさなくてはなりません。
飼い主がお散歩に連れ出してくれるまで
終日この繰り返しです。
長い道の先には
飼い主もあんな感じになるそうです。
大丈夫ですよ
諸々しっかり練習しておきますから。
ってか、ボクはかなり楽しいですよ。
さ、息抜きができたようなので
帰って続きをやりましょう。